モダンな栄養

管理栄養士のブログ

痩せるためには,食通になろう!

世の中には食通,いわゆるグルメな人がいます.テレビなどにも良く出演し,一般庶民にはあまり馴染みのない料理や食品に対して,あーでもない・こーでもないと批評したりする人です.

皆さんはこのような食通の人に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?

太っている?不健康?
これらは間違っていることがアメリカの研究で明らかにされました.

つまり,食通(グルメ)の人は,健康的であるというのです.


あまり一般的ではない食べ物-アメリカでいうキムチ等-を食べる人は,そうでない人よりも運動習慣を持ち,健康的な体重を維持しているようです.

様々な食品を食べることが健康に良いことは,釈然としています.しかし,この研究では,食品の種類の数ではなく,一般的ではない食品を食べているか否かということです.

この研究からは,健康的であるためには,新しい・珍しい食品を積極的に食べてみよう,ということが示唆されました.
食べなれない食品・珍しい食品に積極的に挑戦してみてはいかがでしょうか.

この研究の詳細は以下からご覧いただけます.
Food neophiles: Profiling the adventurous eater - Latimer - 2015 - Obesity - Wiley Online Library

カフェインは頭を良くする?

偉人はコーヒーが好き?

以下の記事では、9人の偉人が大のコーヒー好きであったことを取り上げています。

この記事には、バッハ、ベートーベン、ベンジャミン・フランクリン達がコーヒーを大変好んで飲んでいたことが示されています。この人達が歴史的に見て素晴らしい人物であったことに疑いの余地はないでしょう。また、この人達が肉体作業ではなく知的作業で大成したことに関しても同様ではないでしょうか。

 

このことから、コーヒーと知的作業には関連があることがわかります。この段階ではコーヒーが知的作業の効率を上げるとか、知的作業の効率の高い人はコーヒーを好むのか、はたまた、コーヒーを飲む環境にいること自体が知的作業に関係するのかは明らかではありません。そのため、以下では、この因果関係の証明を行いたいと思います。

 

カフェインと知的作業の関係

以下の記事では、カフェインが記憶力を向上させる効果があるとしています。

記憶力の向上は知的作業の効率化につながると考えられるため、カフェインは知的作業の効率化に寄与すると言えます。

 

ここで、この記事で取り上げられている研究について紹介します。この研究は、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で行われました。具体的な解説は避けますが、本研究ではブラインド、プラシーボ、ランダム化が行われており、結果の信頼性は高いと言えます。また、本研究では200mg以上のカフェインの摂取で記憶力の向上が見られ、200mgと300mgでは有意な差はなかったとしています。そのため、効果を得るのに必要なカフェインの量は200mgで十分であると言えるでしょう。

 

カフェインを摂取する際に気を付けたいこと

一方で、カフェインの取り過ぎが記憶力の低下を招くとした記事がありました。

ただし、こちらはカフェインを睡眠前や午後の遅い時間に摂取することで睡眠不足に陥り、結果として記憶力の低下を招くとしたものです。そのため、カフェインの摂取が直接記憶力の低下につながるとしたものではありません。

以上、2つの記事の結果を統合して考えると、カフェインの記憶力向上効果を効率よく得るためには、

午前に200mgのカフェインを摂取し作業、午後はできるだけカフェインを摂取せずに睡眠をしっかりとる

ことだと言えるでしょう。

 

こちらにカフェイン含量一覧が示されています。

カフェインを摂取する際は睡眠の妨げにならないように適正な摂取量を守るようにしてください。

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菜食主義の肥満抑制効果

菜食主義とは

まず初めに菜食主義の定義について説明します。
以下、Wikipedia*1からの引用です。

「菜食主義」はベジタリアニズムの日本での訳語で、それを実践する者をベジタリアン(菜食主義者)と呼ぶ。菜食という語感から「野菜のみを食べる」と誤解されがちだが、実際にはその種別は多岐にわたる。動物性食品を全く摂らない狭義のベジタリアンから、乳製品を摂取するラクト・ベジタリアン、卵を食べるオボ・ベジタリアンなどを含む。

つまり、菜食主義といっても色々あり、単に肉を食べないという訳ではないようです。

菜食主義の有名人

こちら*2では、以下のような人がベジタリアンであると紹介しています。

SKE48 松井玲奈
ベッキー
土屋アンナ
ソニン
市川海老蔵
森山直太朗

菜食主義は肥満を抑制する?

菜食主義の人の食事はヘルシーなものが多そうです。
なぜなら健康的と言われる野菜をおもに摂取している人が多いと考えられるからですね。

最近、米国クリーブランドクリニックから、興味深い研究結果が発表されました。
詳細はこちら*3
それは、菜食主義の食事は米国心臓協会の推奨する食事よりも心血管疾患のリスクを下げるのに効果的かもしれないというものです。

菜食主義の人にも色々な人がいると説明しました。今回の研究で対象とした菜食主義の食事は以下のようなものでした。

植物と全粒穀物、限定されたアボカド、ナッツを含み、脂肪の添加はなく、また動物性食品も含まない。

つまり、一般の人が思い描いている様な健康的な食事そのものです。この食事を摂取した子供では以下のような効果が認められました。

肥満の子供が、低脂肪の菜食主義ダイエットを始めると、体重、血圧、BMIコレステロールインスリン感受性、高感度C反応性たんぱく質CRP)が改善され心臓病リスクが低下するようだ。

つまり、菜食主義の食事で健康的になったということです。


菜食主義は勧めるべき?

現在の日本の栄養学では、菜食主義を推奨してはいません。
なぜなら、菜食主義では摂取できない栄養素があるからです。

そのため、私としても菜食主義と呼ばれる食事を一般化しようとは現段階では思っていません。
上記の研究結果も、アメリカの肥満児のものです。

しかし、このような研究結果はとても興味深いものです。日本では菜食主義の人が少なく、海外と比べて菜食主義に関する研究が進んではいません。今後、日本でも菜食主義に関する研究が盛んになり栄養学が菜食主義を推奨する時が来るかもしれませんね。

1握りのクルミで記憶力向上

記憶力が良くなりたい!
というのは、学生やビジネスパーソンの切なる願いではないでしょうか。
そのような中で、Web上でも記憶力の向上に有効といわれている食品が多く紹介されています。
下記の記事でも、記憶力の向上に有効な食品が紹介されています。


クルミを食べよう!記憶力をアップさせる効果的な食べ物10品 - NAVER まとめ

この中で、クルミについて、人を対象とした研究が行われましたので紹介します。

クルミの記憶力向上効果

こちら*1のホームページで、くるみの記憶力向上効果について紹介されています。

こちらの記事には、以下のように書かれています。

クルミの消費で、記憶力・集中力・情報処理速度などの認知機能テストのパフォーマンスを向上することができるようだ。本研究でクルミを消費した成人参加者の認知機能は、年齢・性別・民族性に関係なく高かった。

つまり、クルミを多く食べる人は記憶力が高かった、ということです。

これを聞いて、クルミを多く食べるってどの暗い食べれば良いの?
と思われるかもしれませんが、本研究で推奨している量は、たったの13g、つまり、1握りのクルミです。これなら、誰でもおやつ代わりに食べることができそうですよね。

クルミが記憶力の向上に有効であるとされる理由を、レノア・アラブ博士は以下のように説明しています。

認知機能の予防の要因となるような、クルミの有効成分は数多くある。例えば、クルミの高抗酸化物質含有量(1オンス当たり3.7mmol)・様々なビタミンとミネラルの組み合わせ・心臓や脳の健康効果がある植物ベースのオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む唯一のナッツ類(1オンス当たり2.5g)、などである。

これらのことから、クルミが脳にとって有用な栄養素を含んだ食品であることがわかります。
1握りのクルミを摂取するだけで良いので、簡単です。記憶力を向上させたい方、試してみる価値はありそうです。

プロバイオティクスの可能性

プロバイオティクスとは

人体に良い影響を与える微生物。大塚チルド食品のホームページ*1では、以下のように説明されています。

1989年にイギリスのフラー博士によってプロバイオティクスが提唱されました。その“プロバイオティクス”とは、腸内フローラのバランスを改善し、カラダによい作用をもたらす生きた微生物のことです。

糖尿病治療を助ける?

アメリカの糖尿病雑誌を紹介したホームページ*2では、以下のように報告されています。

遺伝子を改変した乳酸菌が、グルカゴンライクペプチド-1(GLP-1)の分泌を促進し、糖尿病ラットの高血糖を30%低下させた、という米国コーネル大学からの研究報告。

つまり、
乳酸菌により血糖値の低下作用が認められた
ということです。

また、その作用機序として以下のように説明しています。

不活性な全長型GLP-1は、ラットとヒトで小腸内皮細胞を刺激してインスリン分泌細胞に変化させることが知られている。研究チームは、このGLP-1を産生する乳酸菌を糖尿病ラットに経口投与することによって、小腸上部の内皮細胞が再プログラミングされて、グルコースに反応してインスリンを産生する細胞に変化することを確認した。

つまり、
血糖値を低下させるホルモンを分泌する細胞を乳酸菌が作った
ということです。


今後の研究

現在は動物実験のみですが、今後は人での実験に移行すると想定されます。
そうすると、糖尿病患者の血糖値改善に寄与することができるようになるかもしれませんね。